【政府、2015年度から「介護報酬」の2.27%引き下げを決定】
fnn-news01/11 18:27
介護サービスを提供した事業者に支払われる「介護報酬」につ
いて、政府は、2015年度から、2.27%引き下げることを決め
た。塩崎厚労相は、「財政厳しき中にあっても、(サービスの)
質の改善は図りながら、効率を図っていくということをやる」
と述べた。介護報酬をめぐっては、財務省が、大幅な引き下げ
を求めていたが、厚労省は難色を示し、双方が歩み寄る形で、
2015年度から、2.27%引き下げることが決まった。
介護報酬の引き下げは、2006年度以来、9年ぶりとなる。
一方、介護職員の確保策として、職員の月給を1万2,000円ほ
ど加算する制度も設けられた。
【介護報酬減額:待遇改善、停滞の恐れ】
毎日新聞 2015年01月11日 21時50分
麻生太郎財務相と塩崎恭久厚生労働相は11日、2015
年度予算について、障害福祉サービスを手がける業者への報
酬は据え置く一方、介護事業者に支払われる介護報酬は2.
27%(1%で約1000億円)減額することで合意した。
厚労省は障害福祉、介護職員の給与を平均で月1万2000
円アップする分は別枠で確保したと説明している。しかし、
介護の業界団体からは「職員の処遇改善は確実に停滞する」
との不満が出ている。
15年度の介護報酬改定では、財務省が特別養護老人ホー
ム(特養)を「もうけすぎ」と狙い撃ちし、報酬の大幅カッ
トを求めた。「特養は非課税の社会福祉法人による経営が多
いにもかかわらず、平均利益率が8.7%と中小企業平均の
2.2%を上回り、内部留保をため込んでいる」との指摘だ。
厚労省は有効な反論ができず、早々にマイナス改定方針が固
まった。
ただし、今回は両省とも「職員の賃上げ分は確保した」と
説明している。介護職の平均給与は月額21万円程度と全労
働者平均の7割弱にとどまっており、人手不足を招いている
ことを踏まえたものだ。
月給を平均1万2000円アップできる財源として1.6
5%分を確保し、業者に支払う「処遇改善加算」を充実させ
る。同加算向けの報酬は職員の月給に回すことが義務づけら
れており、厚労省は「賃上げ効果は高い」と言う。これとは
別に認知症の人への対応が手厚い小規模事業所などには0.
56%分を加算する。
しかし、特養の全国組織「全国老人福祉施設協議会(老施
協)」の石川憲会長は減額改定を受け、「赤字施設が3割近
くに及び、賃下げもあり得る危機的状況に陥る」との談話を
出した。背景の一つ
に、処遇改善加算は月給に充てる必要はあっても、ボーナス
に回す必要まではないことがある。東京都内の特養経営者は
「加算で月給を増やしながら、ボーナスを削って賃金全体を
減らす施設も出かねない」と漏らす。
これに対し、厚労省は「今回は規制を強め、抜け道をふさ
ぐようにする」と反論している。ただ、同加算は介護職にし
か適用されず、同じ施設で働く看護師や調理師ら他の職種の
人の分はない。今回、人件費分を除いた介護業者の収入は実
質4.48%の減だ。老施協の熊谷和正副会長は「マイナス
改定では介護職以外の処遇改善が難しくなる」と話す。
【吉田啓志、中島和哉】
【介護報酬2・27%引き下げ正式決定…9年ぶり】
YOMIURI ONRINE 2015/01/11 20:58
政府は11日、2015年度からの介護保険サービスの公
定価格である介護報酬の改定について、全体で2・27%引
き下げることを正式に決定した。
同日、麻生財務相、塩崎厚生労働相による閣僚折衝で正式
に合意した。介護報酬の引き下げは06年度以来の9年ぶり。
介護報酬は3年ごとに改定され、定期改定では03年度の
2・3%マイナスが過去最大だ。
今回の改定率の内訳をみると、介護事業者の利益率が一般
的な中小企業を大きく上回っていることなどを考慮し、事業
者への報酬をマイナス4・48%とした。一方、人手が不足
する介護職員の賃金を月1万2000円程度引き上げるため、
人件費に関する報酬はプラス1・65%。良好なサービスを
提供する事業者への加算もプラス0・56%とした。この結
果、全体では2・27%のマイナスとなった。